現在7月25日（日）のMidsummer Concertの練習をしています。今回取り上げるのは、ピエトロ・チマーラ作曲の「海の詩（Stornellata marinara）」です。
作曲者紹介
ピエトロ・チマーラは1887年生まれのイタリア人で、作曲者でありピアニスト、指揮者でもあります。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院においてレスピーギに作曲を学びました。デビュー後はイタリアの各地の劇場を皮切りにニューヨークのメトロポリタン歌劇場でも活躍しました。（ニューヨーク時代は1927〜1958） 1967年に亡くなりました。彼の生涯について、多くは伝えられていません。
楽曲について
今回とりあげる「海の詩」はストルネッロという形式の詩に付曲されたもので、通例恋愛や風刺を歌う短い詩です。この曲では第１連、第２連はeで第３連、第４連はoで韻を踏んでいます。
３の和音の展開形で始まる前奏はベースを上行させて展開し、メロディーには寄せては返す波が模写されています。歌の主題を導く音形（3〜4小節目）から引き出されるように第一連が歌われます。
Ah! Alga di mare! Quando m’affosca qualche gran dolore fo stornellar per te questo mio core e la tristezza passa e il pianto muore
嗚呼！海の世界に拡がる緑よ！ 大きな哀しみが私を沈ませるときには あなたのために、私の心にはストルネッロを。 さすれば悲哀は去り、涙は絶える
第２連では主題からB-durに転調し、歌い手の日常の光景が姿を表されます。アルペジオは穏やかなさざ波と心の底に温められた愛を同時に表現しているように思われます。
Ah! strido d’alcione! L’onda sussurra sotto il tuo balcone， e come l’onda va la mia canzone che io canto per te fior di passione
嗚呼！カモメの叫ぶ声よ！ あなたのバルコニーに寄せる波はそっと囁いていて その波の様に、私の歌も流れてゆく あなたのために歌うのだ、情熱の花よ
前奏のバリエーションを挟んで、第３連に入ります。月光を思わせる七連符のアルペジオは、夜の情景を想起させます。桟橋を眺めながら葛藤する、恋する者の不安な心情が歌われています。
Ah! Luna sul molo! La gaiezza dei canti è per il cielo e la gioia di vita in ogni volo pure son triste che mi sento solo!
嗚呼！桟橋の上にかかる月よ！ 朗らかな歌声とは天のためのもの そして人生の喜びとは天をかける類のもの しかるに私は孤独を味わい哀しみの中にあるのだ
陰鬱なe-mollで終わった第３連は短い間奏により世界をがらりと変えます。あたかも夜が明けたようにB-durに転調を果たし、その先では愛する人への溢れる思いが明るく歌い上げられます。
Mare imperlato! Per una rossa bocca di granato io distacco il canto come un rosso fiore Ah! per una bocca che m’a innamorato!
真珠の海よ！ ざくろの如く赤く色づくあなたの唇のために 赤い花弁を散らす如くに私は歌声を散らしていくのだ 嗚呼！私の愛するあなたの唇のために！
どこで聴けるの！？
この情熱的な歌は、7月25日（日）、光が丘美術館で行われるコンサート「Midsummer Concert 〜詩の木陰にて〜」の第一部で聴くことができます。ソプラノは歌手飯田映理子、ピアニスト髙橋悠之輔。第二部では二胡奏者寺岡拓士を招いてトリオとなります。 真夏に一服の清涼を感じられるようなプログラムです。ぜひお越しください！
Midsummer Concert 詳細＆チケット申し込みページ
こぼれ話
この曲の冒頭 Ah〜！Alga di mare〜！って歌い上げて始まるんですが、Algaって「海藻」なんですよ。
某ソプラノ「Algaって海藻なんだよ。」 某ピアノ「う〜ん…（海藻…？イタリア語そもそもあんまよく分かんないなぁ。。。）」 某ソプラノ「面白いよね。」 某ピアノ「ア〜！ワッカ〜メ〜♪ ってこと…？」 某ソプラノ「…。（^ _ ^）」
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